ノマド投資家 小泉雅史です。前回記事に続き、今回も株式投資法について書いてみます。これまでの企業経営経験と不動産投資経験を併せた独自視点から、今後私が取り組んでみたい有望な株式投資法は以下の3つです。
- バフェット流 成長利付債的投資法
- ジムロジャーズ流 ビッグチェンジ投資法
- ジョージソロス流 再帰性バブル投資法
それでは、1.のバフェット流 成長利付債的投資法から説明して行きたいと思います。
ご存知ない方もいるかも知れませんので、簡単にウォーレン・バフェットについて紹介します。世界で最も著名なアメリカの投資家です。世界最大の投資持株会社、バークシャー・ハサウェイのオーナーであり、同社の会長兼CEOも務めています。 バフェットの投資法は、知れば知るほど納得できる素晴らしい投資法です。それでは、その投資法について説明して行きます。
企業を「利子が成長する債券」と捉える投資法
バフェットは、企業のEPS(一株利益)を債券の「利子(クーポン)」と見立てて投資します。通常債券では利子は全額が債権者に支払われますが、企業はEPS(債券の利子相当)の一部を内部留保することで事業に再投資できる仕組みを持っているのです。この「内部留保」という仕組みが「成長する利子を持つ債券」の原理です。
つまり、事業に再投資された内部留保分に対してもROE(株主資本利益率)分だけ新たなEPSが生みだされると考えているのです。実際には、企業はEPSから配当を株主に支払い、残りを内部留保させるので、EPS×(1-配当性向)が最終的な内部留保額となります。
これを式で表すと
BPS×ROE=EPS
EPS×(1-配当性向)=内部留保額
BPS+内部留保額=翌年度BPS
翌年度BPS×ROE=翌年度EPS
EPS増加額=内部留保×ROE=EPS×(1-配当性向)×ROE
EPS増加率=(1-配当性向)×ROE
*BPS:一株株主資本 EPS:一株利益 ROE:株主資本利益率 配当性向:配当割合
ということで、EPS増加のキモとなるのは、高ROEと高い内部留保率です。
そして、これはとても重要な点ですが、内部留保分が新たなEPSを生みだすためには、それが既存設備の修繕等、「現状維持費用」として使用されてはならないということです。つまり、内部留保分はあくまで新規事業やM&A、あるいは株主資本を減らす自社株買いなどに費やされることが前提なのです。
このような再投資の仕組みを長期安定的に維持できる企業をバフェットは「利子が成長する債券」のような企業と呼んでいます。バフェットは、このような企業の10年程度の将来EPSを精度よく予測して、現在の株価から期間収益率を計算して投資判断を行っている言います。
この投資法はとてもリスクが少ない確実性の高い投資法であると思います。なぜなら、現在の事業構造が将来まで変化無く安定していれば、利回りは約束されたようなものだからです。そのために、バフェットは競争が少ない高ROEを長期間安定して維持できる「消費者独占企業」に投資します。
消費者独占企業とは、消費者がその商品を買わざるを得ないような独占的製品を提供している企業であり、企業競争にも強く、インフレ時には製品価格をあげられる価格コントロール力も保持している企業です。また、消費者独占企業は概して生産設備等への追加投資がほとんどかからないローコストオペレーション企業でもあるのです。
消費者独占企業の代表例はコカコーラです。世界中でコカコーラは愛飲されており、ローテク製品のため、毎年莫大な技術革新費用をつぎ込む必要もありません。このような企業は長期に亘って高い利益率、つまりROEを維持できる企業です。
その反対がコモディティ企業です。差別化要因が少ないため、常に競争による価格低下プレッシャーを受け続け、最新技術や設備への追加投資を迫れる企業。このような企業は概して低ROE且つEPSも不安定で、「成長する債券」のように長期間安定的にEPSを生みだすことは困難です。これは過去の財務諸表のROEとEPSの推移を見ることで簡単にチェックできます。
そしてバフェットの投資法は、このような債券的優良企業が株式市場の暴落など何かのショックによって大きく売り込まれたときにバーゲン価格で購入するのです。これは市場の変動(ボラティリティ)を上手く利用した素晴らしい投資法だと思います。
あえて不動産投資に例えると、都内の一等地のタワーマンションをリーマンショックの暴落時に格安で購入するような投資スタイルでしょうか。本質的に良いものを破格で購入するわけですから、かなり手堅い投資法となります。
それでは、次回はジムロジャーズ流 ビッグチェンジ投資法について書いてみたいと思います。お楽しみに。
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