ノマド投資家 小泉雅史です。今回はインカムゲイン投資について書いてみたいと思います。投資で成果を出すために重要なことは何でしょうか?それは、インカムゲインについて理解することだと私は考えています。
投資収益は、保有資産から生み出されるキャッシュフローを指す「インカムゲイン」と、資産売却時の値上がり益を意味する「キャピタルゲイン」に大別されますが、キャピタルゲインの源泉となる資産の売却価格も、じつは資産が将来生み出すインカムゲインの現在価値がその資産の本質的価値となりますので、やはり投資収益の原理原則はインカムゲインであることが分かります。
一方、資産の短期転売を狙った「取引(トレード)」ではその時点の売り手と買い手の需給による売買価格形成のウェイトが高いため、必ずしもインカムゲインの分析が重要ではない場合もあります。しかし、中・長期に亘り資産を保有する「投資」の場合は、やはりインカムゲインの分析は必須でしょう。
そこで、まずはインカムゲインにはどのような種類があるか簡単にまとめたいと思います。大別すると以下の3つです:
① 金利
銀行預金や国債・社債などお金を貸し付けることで得られる対価
② 収益分配
投資する事業からの収益分配金
③ 保証料
何らかのリスクを補償する代わりに得られる引受料
さらに、インカムゲインには、銀行預金の固定金利や債券のクーポンなどのように契約で固定された「フィックスド・インカム」と企業株式の配当や不動産の家賃収入などのように情勢や業績に応じて変動する「バリアブル・インカム」があることを覚えておきましょう。
インカムゲイン投資を考える場合、投資対象が上記の「金利」「収益分配」「保証料」のいずれのキャッシュフローを生み出すのか、それは変動か固定か、について考慮しながら投資プランを組み立てて行くことになります。
■主なフィックスド・インカム
・通貨預金の固定金利
・債券クーポン(国債・社債等)
・オプションのプレミアム(保証料)
■主なバリアブル・インカム
・通貨預金の変動金利
・不動産の賃貸収入
・企業株式のEPS(内部留保+配当)
ちなみに、「コモディティ(商品)」は在庫として保有していてもインカムゲインを生み出さないキャピタルゲイン資産であることは留意しておく必要がありますね。つまり、投資ではなく取引対象資産(トレード資産)となります。
次に、インカムゲイン投資の評価・選別方法ですが、一般的にはまず投資対象の利回りを、無リスクで手に入るインカム、銀行の預金金利や国債のクーポン利回りなどの「リスクフリーレート」と、投資対象固有のプレミアム利回り、つまりリスクフリーレートを総利回りから差し引いた残余である「リスクプレミアム」に分解します。そして、このリスクプレミアムがその固有投資のリスクに見合うものなのか、比較・検討することになります。
例えば、利回り8%の投資用不動産は投資としては魅力的でしょうか?これはこの情報だけでは何とも答えられません。なぜなら、もし銀行預金の金利が5%あったとすると、リスクプレミアムは3%になります。この3%のインカムゲインを得るために不動産を保有するリスクや手間が妥当かどうかを検討する必要があるからです。
ちなみに、日本では超低金利時代が長く続いていますので預金金利5%と言うとかなり違和感がありますが、海外では普通にある金利です。
実際、投資対象がどのようなリスクを持っているかは個別分析が必要になりますが、一般的には以下のようなリスクが挙げられます:
■金利リスク
保有期間中に市場金利が上昇すると債券時価などが下落するリスク
■インフレリスク
物価上昇率がインカムゲインよりも高くなると実質的には資産価値が下がるリスク
■流動性リスク
売買量が細く、売却したい時に売れないリスク
■為替リスク
為替変動による差損リスク
■市場リスク
市場需給によって株価が変動するリスク
■信用リスク
元本の返済や金利の支払い停止など発行体のデフォルトリスク
■事業リスク
消費者ニーズ、競争環境、規制、事業体制の変化などによる事業収益変動リスク
■カントリーリスク
国の政治・経済情勢の変化による環境変動リスク
■地政学的リスク
特定地域の政治的・軍事的な緊張によるリスク
投資対象にこれらのリスクがどの程度内在しているのか検討の上、得られる利回りがそれらのリスクを引き受ける対価として妥当と判断できれば、その投資は魅力的と言うことになります。
インカムゲイン投資とは、上記のような原理原則を十分理解した上で取り組む必要があります。その上で、どのようなポートフォリオを組むかは、投資家各々の目標や嗜好、スキル次第です。
ちなみに、私は今回の記事をまとめていて、改めて不動産や企業株式投資など「事業投資」が好きなのだと実感しました。これまでの私のバックグランドが事業経営関連ですし、事業とは社会を進化させる「エンジン」であり、そのエンジンを創造・運営すること自体が人間に本来備わる能力の発揮であり、またアート的でもあるからです。
そして、そのエンジンを創造・運営する人間に投資する事業投資家もまた同様に人間能力の発揮が求められ、アート的でもあると思います。
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