Airbnbは儲かる?儲からない理由とは

ノマド投資家 小泉雅史です。昨年ぐらいからAirbnbがブームになりつつあります。「民泊」「シェアエコノミー」などでマスメディアや個人の副業系メルマガでもかなり取り上げられ始めましたが、この事業は果たして儲かるのでしょうか?

私自身も実際に所有する物件でAirbnb募集を行ってみたり、アメリカでは実際に本場のAirbnbを利用してみたりしましたが、現時点の結論としては、

今後も市場は拡大していくが、事業の参入障壁がかなり低いため急速な過当競争に陥り、収益率も悪化していく。参入した事業者は労力の割に大して儲からず、支援業者のみが利を得る市場となっていく。

と考えています。まさにアフィリエイト業界と似ていますね。

 

確かに市場は拡大傾向

全国的にも訪日外国人は年々増えており、東京ではオリンピックに向けてさらに増加も見込まれています。また、Airbnbは外国人のみならず、日本人に対しても従来のホテルや旅館とは異なる新しい宿泊機会を提供しているのも事実。

物件所有者にとっては、従来の賃貸マンションをAirbnbに転用すると稼働率次第で約3倍の賃料を生み出すことが可能です。これがAirbnbに物件を供給しようというモチベーションになっている背景もあります。

さらに抵触が懸念されている旅館業法などの関連法の改正も今年は予定され、市場ニーズ・物件供給体制・法律が整ってくることになるでしょう。一方、マンションなどの管理組合は物件のセキュリティーなどを危惧して規制強化を図ろうとしていますので注意が必要です。

 

今後は競争が激化

Airbnb事業は参入障壁が極めて低いビジネスです。一般的には、賃貸マンション・アパートを借りて、または自身の部屋の空室をAirbnbにサブリース(転貸)することになりますが、新たに賃貸マンションなどをサブリースする場合でも「初期費用無料物件」を探し、内装家具などもリサイクル品で調達すれば、ほとんど開業費用は不要。さらに運営自体も専門業者に任せれば全部やっていくれますので管理の手間もかかりません。

これが個人の副業としても注目される理由ですが、逆に誰でも始められるため急速に物件供給が進み、早期に過当競争に陥っていくことになるでしょう。さらに、Airbnbの宿泊者は概して価格にとても敏感です。サイトを通じて常に近隣相場と比較していますから、一般賃貸マンション事業よりも恒常的に値引き競争の圧力が強いビジネスと言えます。

Airbnbの利用者は基本的には短期滞在ですから、マンスリーの賃貸マンション事業というよりもデイリーの簡易ホテル的なビジネスです。よって、空室期間があれば事業者もスポットで機動的に値下げしてきますので、供給過多に陥ったエリアでは急速に収益率も悪化していくはずです。

 

しかし、不動産オーナーには追い風

前述のとおり、サブリースで参入する事業者には向かい風ですが、従来の不動産オーナー、特に1棟物件のオーナーには追い風だと思います。まず、上手く運用すると従来より3倍の賃料を稼げる可能性があります。競争激化で収益率が悪くなれば従来の賃貸物件に戻すという選択肢も取れます。むしろ、従来の一般賃貸とAirbnbを上手く混在されることでトータルの収益力アップが望めます。1棟物件には区分所有のような管理組合問題はありません。

一方、サブリースで参入する事業者は、今後急速に淘汰が進んでいくのではないでしょうか。観光地や駅前など特需のあるエリアでマンション管理規約にも抵触しない区分マンションをサブリースする主に個人事業者や不動産オーナーから1棟物件を預かり運営できる法人規模の不動産専門事業者に絞られそうです。

結局、それ以外の「稼げる系」で参入した主に個人のAirbnb事業者は、今後急速に淘汰されていくと思われます。一番儲かったのは、そういう個人を相手にした支援ビジネスだったというお決まりのパターンではないでしょうか。

 

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