起業家・投資家の成功の秘訣はストックビジネスにあった。

ノマド投資家 小泉雅史です。今回は、起業家・投資家の成功の秘訣である「ストックビジネス」について書いてみたいと思います。

 

ご存知かも知れませんが、ビジネスには「ストック型ビジネス」と「フロー型ビジネス」があります。ストック型ビジネスとは、一言で言えば、リピート購入されるビジネスです。一方、フロー型ビジネスは、販売したらそれで終わりの売り切り型ビジネスです。

 

ストックとは事業収益が「積み上がる」の意味であり、フローとは収益が「都度流れてしまう」ことを表現しています。ストック型、フロー型ともにそれぞれ一長一短ありますが、例えば以下に整理すると、

 

■ストック型ビジネス

メリット
・既存顧客から安定した事業収益を長期にわたり得られる
・新規顧客を開拓すると追加収益が積み上がり、事業が安定成長していく
・システマティックに生み出される収益が多く、事業売却も比較的容易

デメリット
・事業を成長させるためには比較的時間を要する
・既存事業の継続的なメンテナンスが必要

 

■フロー型ビジネス

メリット
・事業の立ち上がりが早く、短期間に大きな収益を得やすい
・売り切り型のため、一回当たりの販売額は比較的大きい

デメリット
・新規開拓し続ける必要がある
・属人的・不安定な事業に陥りがちで、事業売却は比較的困難

 

起業家が事業を立ち上げ、安定成長させるために一番大事なことは「収益を継続して得る」ことではないでしょうか。上記の特徴にあるように、立ち上げやすいのは「フロービジネス」かもしれませんが、継続した事業拡大を達成するためには、どこかで「ストックビジネス」にシフトしていく必要があるでしょう。

 

典型的な例は、不動産の「売買」と「賃貸」です。物件売買は一回で大きなお金が動きますので、短期間で売上を立てやすく、利益も得やすいでしょう。しかし、その売上を維持するためには、常に売り続けなければならず、営業を止めると売上も無くなってしまいます。

 

一方、不動産賃貸は、毎月の家賃収入が継続して入ってきますので、営業をストップしても既存のキャッシュフローは途絶えません。新規物件を増やす程、毎月の家賃収入は積み上がって行きます。

 

つまり、短期で稼ぐならフロー型ビジネスが最適ですが、事業として長期成長を目指すなら、ストックビジネスを中心に据えることはとても重要です。

 

では、投資家としてストックビジネスとフロービジネスを考えた場合はどうでしょうか?

 

ストックビジネスは長期にわたりEPS(一株利益)が安定成長する可能性が極めて高い事業です。よって、株価もEPS成長に併せて短期的には需給による株価変動を経ながらも、長期的には一貫して右肩上がりとなって行きます。一方、フロービジネスはEPSの成長が不安定なため、株価も乱高下しやすくなります。つまり、長期投資ではストックビジネスを選定すべきであり、短期投資ではフロービジネスに大きな利があると言えます。

 

ちなみに、著名バリュー投資家のウォーレン・バフェットは、「今後何十年にもわたって持続可能な競争力を持っている企業に投資する」と述べています。つまり、これは長期にわたり安定成長しやすいストックビジネスへの投資を好むと解釈できます。

 

実際、バフェットが経営するバークシャー・ハサウェイを見ると、保険・エネルギー・鉄道・銀行・メディア・生活関連消費財等、社会に不可欠且つストック性の高いビジネスへの投資が多くを占めることに気付きます。

 

事業を立ち上げる起業家、事業に投資する投資家が、長期にわたり成功するためには、事業収益の「質」、つまりどのような形で収益を得るかを考え、見極めることがとても重要であり、その収益基盤にストックビジネスを据えることが成功の秘訣です。

 

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